臨床心理士の友人に教えてもらったこと。
今日臨床心理士の @nakamuratter と telegraph.co.uk のある記事についてメールで意見交換していてとてもためになったので本人の許可を得てブログに書くことにしました。
元記事はこちら
http://www.telegraph.co.uk/technology/3304496/Be-lucky-its-an-easy-skill-to-learn.html
この記事に対して、臨床心理士のnakamuratterからは以下のような感想と心理学のトピックを教えてもらった。
視野の広さ、考え方の柔軟性というのが、人間関係への適応や仕事の出来、精神的健康を向上させ、
幸運だと感じるようになるんやろうなぁ。関連した心理学のトピックとして
・Locus of Control(統制の所在)
出来事を自分がコントロールできるものではないと考えると、無気力になる。
例えば、出世は上司の機嫌や運(コントロールが難しいか不可能)によると考えるとやる気が無くなるけど、
自分の努力による(コントロール可能)と考えるとやる気が出る。・抑うつのリアリズム
実はうつ傾向の人のほうが色々な出来事が起こる可能性を現実的に見積もる。
つまり、健康な人は「自分は交通事故にあわない、リストラにあわない」と若干、楽観的な見方に“偏っている”んだよね。
あまりに現実的に物事を考えると、可能性の見積もりは正確であっても、精神的に健康でいられない。・リフレーミング
物事を一つの側面だけでみるのではなく、視点を変えてみる。
オリンピックを例に挙げると、フライングのホイッスルが聞こえたとか電光板の故障とかでなかなかスタート出来ない状況で
「トラブルが多いなぁ。集中力を乱された」と考えてしまうと、それだけで損した気分、ハンデを負ったように思うけど
「神様が、一秒でも長くリンクにいて欲しくて、いたずらをしているのかな」と考えると、少し肩の力が抜けて、
リンクにいる時間を楽しめたんじゃないかなぁ、と思う。
そういう考え方が出来るのが、逆境への強さ、精神的な強さと、世間では捉えられてるんだと思う。カウンセリングでは、こんなふうに色々なものの見方を発見したり、試したりする。
過去も周りの環境も変えられないけど、自分のものの見方は変えられるからね。
「Locus of Control」は自分や部下が「やる気がおこらない」場合の原因の一つとして考えられるし、
うつ傾向の人のほうが綿密な計画をたてる場合にはいいのかもしれない(笑)
「リフレーミング」はプログラム書いているとき、とりあえず寝たら次の日あっさりと解決するのにも似ていると思う。
こういうことが心理学の一トピックとして既に確立してあるのが面白かったので、
「これブログに書いていい??(笑)」って聞くと以下のような話もしてくれた。
幸せについて
一休さんが、ある坊さんに天国と地獄を見せてくれと言われて、彼の首を絞めた。これが地獄です、と。そして緩めて、天国です。
つまり、息ができる、当たり前だと思ってることができない時は辛いし、当たり前のことが実は有難いことなんだと気づいた時、人は幸せを感じる。漫画ブラックジャックによろしくに登場する末期ガン患者が、告知を受けて家に帰る道すがら、夕日をみて夫に「絶望って灰色じゃないのね。まぶしいのね」と言うんよ。
もう夕日を見れなくなる日が目の前に近づいた時、はじめて夕日の美しさ、健康に生きる有難さに気づく。金持ちになる、異性に持てる、自分の夢を叶える、したいことが出来る、こうしたことを幸せだと定義すると、全ての人が幸せになると言うのはむづかしいよね。
貧乏な人、障害がある人、病気の人、どんな人でも幸せになれる方法があって、それは自分にすでにあるものの有難さに気づいて感謝の気持ちが浮かぶこと。
足りないこと、できないことしか見えないと辛いけど、足りていること、できることに気づければホッとしたり勇気がでたりすると思う。
*こうした考え方はソリューションフォーカストアプローチといって、カウンセリングからはじまり教育や産業でも応用されている。思い込みや世間の常識、価値観、こだわりから自由になれた時、いつでも幸せになることができるというお話でした。
心理学って本だけで読むと味気ないものだったりするけど、こういう風に自分が言ったことや感じたことについて
補足する形で教えてもらえるとスッと入ってくるし面白いと思うようになる。
こんな感じで全く分野が違う人と話すのも悪くないよねーと思いました。
というわけで仕事などに悩んでいるかたは有料かもしれないけど http://twitter.com/nakamuratter まで(笑)
つらいときは悩んだりするも悪くないけど健康を害さない程度に、かな。
元記事を読むのが面倒な人のために簡単な概略を書いておきます。
■概要
幸運な人は機会に恵まれている。それを検証するために以下の実験を行った。
■実験1
・ある新聞をLuckyな人とそうでない人の両方に手渡す。
・その新聞の中に何枚の写真があるかを答える
■実験1の結果
Unluckyな人は平均して2分かかったが、一方でLuckyな人は数秒で完了した。
理由はその新聞の2ページ目にこの新聞に含まれている写真の枚数が書いてあったから。
■考察
Unluckyな人はLuckyな人に比べて物事を深刻に考えすぎてしまう傾向がある。
なので一つのことに集中するあまり、予想外のことを見逃してしまう。
同じ実験を別のグループ(賞金をつけてプレッシャーを与える)にしたところ、
このグループについても、1/3が見逃してしまった。
■実験2
・Unluckyな人をLuckyな人と一カ月間一緒に過ごさせて同じように振舞ってもらう。
■実験2の結果
80%のUnluckyな人が幸せだと感じて、Luckyな人もluckerになった。
■まとめ - Luckyになるための3つのテクニック
1.Luckyな人は様々な選択肢についてどのように考えるかあるいは感じるかに重点をおく
→何かの決定を注意深く考えることにつながる
2.Luckyな人はさまざまな機会を求めて行動している。
3.Luckyな人は悪い出来事が起こっても良い面を見つける